少子化が進む
子どもたちの
未来に残せるもの
廣野 まずは、ブルーベリーの摘みとり農園オープン、おめでとうございます。(6月12日オープン)
三川 コロナ禍で計画より1年遅れの開園でしたけど、無事オープンできてホッとしています。
廣野 昨年、農地への太陽光パネル設置の配線工事をご相談いただいたのと同時期くらい、『あかりをつないで』で対談したキタイ電気の北井さんとの対談で、農業と太陽光発電が話題に上がって興味を持ちました。ですから、ぜひご協力させていただきたいと思いましたし、次の対談は絶対に三川さんへオファーしようと思っていました。
三川 廣野さんと、仕事の現場ではないところでお話できる機会をいただけて、光栄です。
廣野 三川さんと出会ったのは、会長が社長をされていたときですから、20年くらい前でしょうか?その頃からエネルギーや農業に興味があったのですか?
三川 僕はまだ大学生でしたね。まったく農業という発想はありませんでした。けれど結婚して子どもが生まれて、ふと子どもの未来を考えたとき、少子化が進んでいる今、近い将来には人口も確実に減っていく。何かを建てるという事業も確実に減っていく。そう予測したとき、建設業だけで事業を継続させていくのが難しいんじゃないかと思ったんです。そして、未来のために子どもたちに残せるものは何か、本当に必要なものは何かを改めて考えさせられたんです。そうしたらすごく楽しそうな未来を見つけてしまって、そこにエネルギーを注ぎたいなと(笑)。
廣野 それが太陽光発電と農業だった?
三川 再生可能エネルギーは、いろいろな意味で未来に繫がるものだと思いました。住んでいるマンションに太陽光パネルが設置されたとき、これだと思いました。風力発電にもチャレンジしましたが、太陽光発電が一番事業化に適していると感じました。
廣野 次々にチャレンジしていくパワーがすごい。
三川 やればなんとかなるものですし、楽しいことはモチベーションになります。このパワーは、ちゃんとご飯を食べているからだということにも気付きました。
廣野 それで、農業。
三川 建築物など“箱”は残っていくから、必ずしも新しくつくる必要はなくて、リフォームしたりして大切に残していくことも大事だと思うんです。資源を大切にすることにもつながりますしね。そうやって考えて、ならば生きていく上で本当に大切なものは何かと考えたら、食べるものだなと。農業大事!これを守り受け継いでいかなければと至ったんです。
廣野 太陽光パネルの下で農作物を育てるスタイルは、ここ2年くらいで急速に注目を集めています。でも、始める方というのはほとんどが農家の方。農業はなかなかハードルが高かったと思います。
三川 それはもう大変でした。普通は農家さんに修行に行くのですが、自分はこうと決めたらどんどん進んでいきたいタイプなので、その時間がもったいなかったんですよね(笑)。独学と実地で突き進みました。
廣野 すごい行動力。自分なら二の足を踏んでしまいます。
三川 誰しも仕事では苦労することはありますけど、僕はその苦労のベクトルが違う方向を向いていて、「チャレンジは楽しい!」に変換されているのかなと思います。楽しくチャレンジした結果、成果が上がればさらに楽しくなって、またチャレンジしようと思える。すでに、太陽光パネルと農業の成果も出ていて、十分成り立つと予測できています。
廣野 すごいですね。エネルギーと農業はこれからもっと注目されていくのではないでしょうか?
三川 露地栽培の農業は、どうしても天候に左右されてしまいます。太陽光パネルの下での栽培のメリットは、太陽光発電から生じる電力を売電することによって、農業以外の安定した収入が得られることです。農業が安定した職業になれば、農業を目指す若者も増えていく未来も見える。再生可能エネルギーと農業は未来をつなぐ存在になれるんじゃないかと、期待しています。