慣例より大事なものがある
お施主さんに現場の顔が見える家づくり
慣例より大事な
ものがある
お施主さんに現場の
顔が見える家づくり
廣野 今回は、あかり設備の事務所兼打ち合わせルーム完成のお披露目を兼ねているので、ゲストは石塚さんしかいないでしょう、と(笑)。仕上げのクロス職人としての仕事だけじゃなく、地鎮祭から引き渡しまで各業者をつなぐコーディネーターとしても動いてもらって、本当にお世話になりました。
石塚 こちらこそありがとうございました。今回の仕事、お付き合いのある廣野さんの事務所新築というのもあって、とても楽しい現場でした。
廣野 私も、石塚さんと同じ現場の仕事はいつも楽しい。本業はクロス(壁紙)職人なのに、現場監督として業者間をまとめ上げていく仕事の進め方はおもしろいなと、いつも思っていました。
石塚 木場建築設計の理解というか、お施主さんファーストだからこそ、僕の仕事の進め方を認めてくれるのだと思っています。内装業者は、下請け・孫請けが多くなりがちで、僕は慣例のような流れを変えたかったんです。父から『インテリアベスト』を受け継いだ時に、元請けの立場で進められる仕事を主軸にしました。
廣野 それはいいよね。職人さんが来て、やることをやって帰るっていうパターンが多い中、温かみがある仕事、人がつながっている安心感は大事。
石塚 大工さんなど各方面の職人さんと、細かいところを詰めていくのも僕の仕事なので、現場でのコミュニケーションはとても大切にしています。お施主さんとコミュニケーションできる場でもありますしね。建て終わったらインテリアベストへ仕事がバトンタッチされるので、僕自身もスイッチを切り替えてクロス職人になります(笑)。最後は現場監督に戻って、お施主さんに引き渡しする、ところまでが僕の仕事です。
廣野 今回、石塚流の仕事を施主目線でずっと見ていたので、いろいろ勉強になりました。今後の参考にさせてもらいます。
石塚 照明や楽器が入ってから見るのは今日が初めてですけど、やっぱり最後は照明で決まりますよね。想像以上の仕上がりに感動しています。さすが照明のプロっていうのもありますけど、部屋や家のイメージを決める照明って、本当に重要だなと思っているところです。
廣野 結構遊んでいますよ。Bluetoothで制御できる仕様にしていて、点灯・消灯はもちろん、スポットは色を変えられるし、明るさもグラデーションで調整できます。建物ができてから、石塚さんとクロスの色を含めて内装を相談しましたけど、最初にオファーした「ジャズ喫茶風」よりも、モダンな感じになりましたよね。
石塚 楽器を置きたい、アクセントカラーは赤って聞いて、カフェバーに近いイメージを持ったんですよ。楽器を置くなら明るめの壁紙より暗めの方がいいと思ったので「濃いグレーにしましょう」と推しました。廣野さんとのお付き合いの中で、絶対このイメージを分かってくれると思って、強気で(笑)。グレーの色柄も何万点もの中から選んで、応接・事務スペース・トイレ・洗面と、柄は同じだけどスペースごとに色のトーンを変えました。
廣野 そのさじ加減がまた絶妙!と思いました。完成して改めて見ると、石塚さんの提案に乗って良かったと思いました。
石塚 モルタル調の壁紙にして正解でした。ドラムの黒と赤が映えるし、キーボードの赤も引き立って、良い感じになっているかなと。ギターは、まさかオブジェ風に飾るとは想像していませんでしたが。キッチンの棚もおしゃれですよね。
廣野 キッチンの棚は、デザイン事務所で見たものを参考にしました。足場の板にニスを塗って、黒いサッシと合わせた黒のアイアンと組み合わせて自作しました。石塚さんの内装デザインにイメージが膨らんで、エアコンをグレーにして、火災報知器も黒にして。かなり細かいところまでこだわって、探したりするのは大変でしたけど、すごく楽しかった。
石塚 グレーのエアコンは、グレーの壁紙が人気になってから発売されたんですよね。でも黒い火災報知器は知りませんでした!これから僕もお施主さんに提案させてもらおうかな。やっぱり廣野さんとコラボできて、良かったです。お互い好きな雰囲気を知り尽くしているし、感性が合うから目指す方向性もすんなり決まるし、いつも想像以上の仕事ができるように感じています。内装を決める時、照明も提案できるようになって、僕のスキルは爆上がりです(笑)。
廣野 私も石塚さんの提案にレベルが引き上げられていると思っています。感性が合うって、チームで仕事をする上ですごく大事ですよね。お気に入りの事務所兼打ち合わせスペースになって、満足しています。