あかりをつないでー
Akari Facility Design WEB Magazine

陸上競技は個人競技
だけど
究極のチーム競技だと思う

チーム一丸になれるからこそ
乗り越えられる壁がある

廣野 練習風景を見て、とても良い雰囲気のチームですね。陸上競技は個人競技ですが、チーム得点を積み重ねる究極のチーム競技だとも思っています。チームを背負って戦うことで、普段出せないような記録や成績が出せますし、選手になれない人のがんばりもチームの結果に表れる。そこは一緒に走っていた時代から変わらず、三輪先生も追及していることだと思っているのですが、どうでしょう?

三輪 同感です。浜松開誠館ではミーティングをとても大切にしていて、そこからチームづくりをしていきます。チーム力が壁を超える力になっているし、強さの源になっていると思います。

廣野 チーム力が上がると主体性も向上していきますよね。三輪先生はどのように生徒たちと向き合っていますか。

三輪 昔から変わっていませんが、メニューを与えて、あとは先輩が後輩へ教えるというスタイル。自分たちで考えることを促しています。例えばリレーのバトンパスディスカッションするとき、今どうだった? というように、まず質問を投げかけます。考えて自分の言葉で話すことで、気付かせることを大切にしています。

廣野 コーチングの講習で、同じことを言っていました。科学や理論の時代になってきていますが、そのあたりで変わったことはありますか。

三輪 トレーニングにiPadなどを使ってデータを共有したり、ウェイトトレーニングも週2回行っていますが、基本は変わっていません。土台となるのは走り込みと補強。テクニックはほんの少しでいいと思っています。

廣野 技術に目が行き過ぎるのも良くないですよね。

三輪 フォームの矯正はほとんどしません。クセがあったとしても必ずしも悪いとは言えず、矯正して逆にバランスが崩れてしまう場合もありますから。細かいことまでこだわらない方が良いと思っています。大きく変わったところは、私の意識でしょうか。生徒たちを子ども扱いせずに、大人同士として向き合うこと。時代の流れと共に、私も丸くなりましたね。

これからの部活は私立の時代が来る

廣野 新しい目標ができたとおっしゃっていましたが、どんなことか教えていただけますか?

三輪 私はマイルリレーで勝ちたい、成功するんだという気持ちで浜松開誠館に来ました。そこは変わらず狙っていきたいです。しかし、そろそろ次代にバトンを渡すところに来ていると思っているので、全体を見る役割はあと5年、60歳までと決めています。その後は、男女駅伝を統合して5年くらい指導したいと考えています。

廣野 まだまだ三輪先生の活躍、浜松開誠館の飛躍が楽しめそうです。

三輪 これからますます少子化が進みますし、中学校では部活動が学校単位ではなく地域に移行されます。陸上競技も厳しい状況になると思いますが、私はチャンスと捉えています。私立だからできるサポート体制は、才能ある子どもを見捨てず、見逃さず、救い上げ、伸ばす、子ども達にとって良い環境を整えられる。これからは私立の時代になると思っています。

廣野 三輪先生の情熱のバトンは、生徒たちだけじゃなく、いろんなところにつながっていますし、これからもつながっていくと思います。私も三輪先生とつないだバトンを、しっかり次代につなげていけるよう、日本スポーツ協会陸上競技コーチの資格をもっと活用して、子ども達の陸上競技をサポートする活動に積極的に関わっていきたいと思います。今日は久しぶりにお会いしてお話できて楽しかったです。ありがとうございました。

浜松開誠館高校陸上部のチームキャラクターは、ゴリラ。三輪先生がモチーフだとか。生徒たちから「かわいい!」と親しまれています。
浜松開誠館高校陸上部のチームキャラクターは、ゴリラ。三輪先生がモチーフ
だとか。生徒たちから「かわいい!」と親しまれています。

陸上部コーチ 馬渕和哉先生につながれたバトン

三輪先生は陸上一筋、全ての情熱を陸上に注いでこられました。尊敬する先生であり、私の人生を変えた恩師でもあります。三輪先生との出会いは中学3年生のとき。赴任してこられて陸上部顧問として対面し、「キミは四種競技をやりなさい」と、種目変更を告げられました。その日から「全国大会へ行く」という目標へ一緒に向き合い、指導してくださいました。そして先生のおっしゃった通り、四種競技で全中(全国中学校体育大会)出場を果たしました。100mと走り幅跳びを続けていたら、叶わなかった夢でした。 三輪先生は、センスを見抜いて素質を伸ばす心眼をお持ちだと思います。生徒の良さを最大限に伸ばして結果に結びつける。三輪先生からのバトンをしっかり受け取り、次の走者にもバトンをつないでいきたいと思います。

Tetsuhisa Miwa
Kiyohisa Hirono
未来へとバトンをつなぎ
才能を見逃さず救い上げる
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